2003.10.28 第179号
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聖公会首座主教会議に出席して |
首座主教代務者 主教 ダビデ 谷 昌二 |
今、世界の聖公会(アングリカン・コミュニオン)が、コミュニオンとしての一致と交わりを続けることができるかどうか。同性愛をめぐる問題で、非常に難しい事態に直面しています。急遼、カンタベリー大主教が呼びかけ、10月15日〜l6日、ロンドン・ランベスパレスで首座主教会議が開催され、38管区のうちフィリピン聖公会だけの欠席で、熱い、厳しい討議が行われ、難産の末、別掲の声明文が発表されました。 |
カナダ聖公会ニュー・ウェストミンスター教区で、同性間の“婚姻を祝福する''式を行うことを許可したこと。さらにアメリカのニューハンプシャー教区が、自分が同性愛者であることを公にしているジーン・ロビンソン師を主教として選び、それをアメリカ聖公会総会が承認したこと。これにどのように対応するのか。事と次第によっては、アフリカ、南米、アジアを中心とした18の管区が、アングリカン・コミュニオンから離脱する決意をしている。非常に緊張した雰囲気で始まりました。 |
最初、課題についてのそれぞれの管区からのコメントが発表されました。文章でされたところもあり、かなり主観的・個人的な考えを述べられたところもありました。日本聖公会としては、臨時の主教会で確認した点――日本の社会的な現実、教会での同性愛者の受け入れの現状はまだまだ進んでいない面がある。まして、聖職者としては受け入れられる現実ではない。が、アメリカ聖公会が苦悩の末下した結論は尊重したいこと――を伝えました。 |
一般に同性愛に対する聖書的な観点からの否定的・一面的な見方が、大多数を占めていました。(今回、聖書の解釈が議論された訳ではありませんが、聖書に出てくる性の乱れとしての“同性愛”と、現代問われている“同性愛の指向性をもって生まれた者"−homosexual oricnted person−の理解の有無が、管区間を大きく隔てていること。と同時に、管区の置かれた社会的・宗教的状況も、十分考慮されなければならないことを学びました。) |
このカナダ、アメリカの問題がアングリカン・コミュニオンの分裂を引き起こすものかどうかでは、意見が分かれていました。質疑の後、4人の主教からの提示があり、それをもとに熱い議論が続き、最終的にドラフト委員会から出された声明文を検討して行くことになりました。この過程で何度も大きな壁にぶち当たり、もはや共通の意思表示ができないのではないかと危ぶまれましたが、カンタベリー大主教ロワン・ウイリアムズ師の大きな包容力とリーダーシップでまとめることができた次第です。参加を拒む議論の末、何とか全員共にできた聖餐式に胸を撫で下ろしました。そして、朝夕の礼拝、説教、聖書の学びがこの会議の支えでした。 |
声明文の内容は非常に厳しいものです。当面の分裂は回避されていますが、ll月2日に予定されているニューハンプシャー教区の主教聖別式が行われると、何が起きるか予断が許せません。一方、各管区の慎重な対応も求められています。設置される「委員会」による提示、カンタベリー大主教の仲介の役割に期待がかけられています。日本聖公会としても、緊急かつ重要課題として取り組んで行かねばなりません。 |
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