“安心”と“教育”の場を
国際子ども学校(Ecumenical Learning Center for Children 以下ELCC)は、公教育を受けることが難しい環境にある、在日フィリピン人の子どものための学校として1998年に設立されました。当時の名古屋学生青年センター総主事が、名古屋市内の繁華街にある公園で、深夜に遊んでいるフィリピン人の子どもたちに出会ったのがきっかけでした。
ELCCでは、毎週月~金曜日、フィリピノ語、英語、国語、算数、理科、社会、音楽、体育、家庭科、図工などを教えています。また、フィリピン人としてのアイデンティティの確立も大切と考え、母語や母国の文化も教えています。これから先、子どもたちがどこで生活しようとも、将来を、より豊かなものにできるようにと願っているからです。
授業は、フィリピン人教師2名の他、ボランティアとして、退職した元教師、社会人、学生など約20名が担当していますが、他にも、生活指導、運営への助言など、多岐にわたり協力をしてくれています。
ELCCの担う役割
地域の学校へ送り出す準備の器
現在は幼稚園にあたる年齢の子どもたちが多く在籍しており、子どもたちが学齢期に達すると積極的に地域の小学校に送り出しています。また、小・中学校の年齢で来日した子どもたちは、ELCCである期間学んだ後、地域の小・中学校に編入させています。日本語の能力が充分でない子どもたちの就学は、学校生活を送る上で深刻な問題です。そのため、ELCCは子どもたちを地域の学校へ送り出す準備の器として、重要な役割を果たしています。
ELCC設立のきっかけ
深夜の公園で遊ぶ子どもたちとの出会いから
1998年4月、ELCCは、在日フィリピン人の子どものための学校として設立、開校されました。当時の名古屋学生青年センター総主事が、名古屋市内の繁華街にある公園で、深夜に遊んでいるフィリピン人の子どもたちに出会ったのがきっかけでした。
当時、移住労働者の多くが超過滞在または滞在資格のない状態で長期間日本に住んでいました。そのような親を持つ子どもたちは、日本で生まれても公機関への届け出ができず無国籍状態にありました。そのため、公教育を受けることができず、ほとんどの時間を家庭の中で過ごすしかありませんでした。
ELCCは、そのような子どもたちに安心して過ごせ、勉強のできる「場」を提供しようと、尾張旭市にある愛知聖ルカセンターを会場に、緊急避難的に設立されたのが始まりです。
成果とこれから
これまで通ってきた子どもは延400人あまり。ELCCや教会関係者、市民団体と連携し働きかけた結果、2002年3月以降、名古屋市は外国人登録のない子どもたちの就学を認めるようになり、ELCCの子どもたちも地域の公立学校に編入できるようになりました。
また、滞在資格をもたない家族や子どもたちが在留資格を得られるようにと、弁護士グループや市民団体の協力を得て行政に働きかけた結果、これまで8家族26名が日本での在留資格を得ることができました。
開校から19年を経て、卒業生の子どもがELCCに通ってくる時代になりました。時の流れを感じるとともに、保護者としてやって来る卒業生を見るのは嬉しい限りです。
子どもたちの低年齢化や教授内容の変更、運営の安定等のため、2017年9月に、会場を愛知聖ルカセンターから名古屋学生青年センターに移転することにしました。
これまで本当に多くの皆さまのご理解とご支援をいただき、ここまで続けて来ることができました。心より感謝申し上げます。今後とも子どもたちのためにお祈りとご支援をいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
(2017年5月 記)
ELCCの活動をお支えください
「国際子ども学校」および「国際子ども学校を支援する会」の活動を支えてくださる方を募集しています。
- 例えばこんな支援の形があります。
- 課外授業や放課後学習支援のサポートなど在学生・卒業生を支える
- 地域の問題でもある外国人との共生の道を考え、学習会や政策提言を行う
- ボランティアとしてスポーツフェスティバルなどに参加する