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日本聖公会第55(定期)総会を終えて
首座主教 主教 ヤコブ 宇野 徹
今回の総会における最も重要な問題は「教区制改革を推進する機関」の設置と年金の将来についてであります。
「教区制改革を推進する機関」の設置は日本聖公会及び各教区における宣教及び組織運営等を活発かつ円滑にするため、必要と思われる改革を行うという趣旨であり、そのために教区区域の問題、教役者人事に関わる諸問題(人事配置、給与制度、福利厚生等)財政的格差等について、法規改正を含む改革案を4年後の定期総会に提案するというものであります。
この問題についてまず、各教区が宣教をどのように受けとめ、どのように展開しようとしているか、殊に、教役者の激減、若者の教会離れ、教会員の高齢化などを教会はどう受けとめ、理解しているかということを真剣に問わなければならないのではないでしょうか。現代社会は既成政党や団体、宗教離れが起っております。その原因は人々のために存在し、働きをすると言いながら、自分達がいかに生き長らえ、存続するかという自己保存的な考え方に終始していることにあると思います。
教会は教会の信徒のためにだけあるのではなく、悩み苦しみ、助けを求めて悲痛な叫びをあげている人達の存在に気付き、その人達と共に歩み、寄り添い、主イエスを通して示された神の愛?福音を語り、生きることにあると思います。よく言われることですが、教会は地域に開かれた教会でなければならないとか、世に仕える教会でなければならないとかと口では言うが、具体的にどのようにして人々に仕え、神の愛を伝えようとしているのでしょうか。この基本的な宣教をなすためにどれほど私達は祈り、力を注ぎ、気が狂わんばかりに心を用いているでしょうか。私達は宣教がうまくいかないことを組織や機構等の原因にしていないでしょうか。勿論、教区区域の問題等の組織や機構、人事配置や給与制度、福利厚生等といった教役者人事に関わる諸問題、教区間の財政格差の問題を考えなければならないと思いますが、まずは自分達の教区で具体的に考えていくことを通して日本聖公会全体の問題となっていくのであります。
また、年金の問題は国全体の問題となっていますように、維持していけるのか、どうすれば維持していけるのかという抜本的に考えていかなければならないと思います。より良き方向に進めるためにある時には痛みを伴うことがあると思いますが、それでも決断しなければならないこともあると思います。皆さんの意向によく耳を傾けながら進めて行きたいと思っておりますので、ご協力をお願いいたします。