「支援センター・しんち」は福島県相馬郡新地町にあり、東日本大震災以来、ここで、さまざまな活動をしています。8カ所あった仮設住宅が2カ所に集約され、また不通となっていた常磐線の運転再開…と確かな「復興」が進む一方、「がんご屋仮設住宅」では、6年目の避難生活を余儀なくされている「原発被災者」の声なき声が聴こえてきます。
深刻な放射能汚染は安全かつ確実に除去されなければなりません。樹木や土壌、建造物や道路は伐採や表土除去、洗浄、埋立などで除染し、汚染濃度は下げられまする。しかし、気流や海流、気象変動や自然界の生態系を前に、人の成し得る術など「完全かつ確実に」どころか、決して「安全で安心」ではありません。大自然や生態系を前に、「困難・制限・準備」など、人のつくる区域制限は通用しません。バリケードや立て看板・広告板などで、生息する動植物の繁殖・生死・排泄・移動移住の自由を阻止制限することなど不可能なのです。
国(環境省)と民間(福島県自然保護協会)が調査した同じ場所での結果に、何と大きな差違が出るのでしょう(表)。大切なのは双方の事実を公開し、比較検証する中で隠された真実を知る(知らせる)ことです。しかし現状は、「新基準クリア=安全宣言=原発再稼働」という、国(原子力安全委員会)・電力企業との出来レースが既成事実化され国是に。こうして安全神話の幻想が、「3・11」などまるで無かったのかのように甦っているようです。「これでいいのですか?」と訴え続けている声なき声が、皆さん聴こえますか?(スタッフ/松本普)