福島を忘れない車の旅

東日本大震災から5年が経過しました。節目である年を迎えるに当たり、共に歩んできた方々がこれまでを振り返り今想う事を、リレー形式で掲載します。
4人目は、『福島を忘れない車の旅』で、被災地巡礼の活動を続けてきた小川昌之さんです。『福島を忘れない車の旅』では、冨岡、大熊、双葉、浪江の各町を訪問し、被災地の現況に触れています。また、南相馬郡新地町にあるがん小屋仮設住宅でのお茶会に参加し、仮設に住まう人々との交流も重ねてきました。原発事故の風化が進む中、いつも心に留めて頂き、訪問して下さることは、大きな喜びであり、励ましでもあります。


福島を忘れない車の旅         

東京教区月島聖公会:小川昌之

東北大震災後、「福島を忘れない車の旅」を月2回ペースで呼び掛けてきた。ワンボックスカーを駆って行う1泊2日・2万円・800キロの旅である。

郡山・新地・小名浜の各センターを訪問し、スタッフのお話を聞くと共に、お茶会に参加して被災者との交流を行う。被災地を巡り、被害の実態と復興状況を目の当たりにして、震災と原発事故の核心に迫り、原発立地の相双地区では放射線量の測定も行う。

東京・横浜・中部教区の皆さんを案内したが、車中での教会間・教区間の情報交換も有意義であった。

「行って被災者の何の役に立つ?自己満足だけでしょ」と言われながら続ける旅。自己満足の誹りを免れないかもしれないが、自分のためだけではなく、他者が視野に入った自己満足。

訪ねた相手から「又来てね。あなたの優しい笑顔を又見せてね」と言われたら、800キロなど何ともありません。健康が許す限り、神様の祝福がある限り、私の「福島を忘れない車の旅」の運転ボランティアは続く。