(2015年12月10日福島民報新聞・12月11日朝日新聞掲載記事より)
東京電力福島第一原子力発電所で、「ダクト」と呼ばれる地下のトンネルにたまった汚染水の濃度が、1年前の4,000~4,100倍に上昇しているのが見つかりました。
福島第一原発の「廃棄物処理建屋」と呼ばれる施設の周辺には「ダクト」と呼ばれる地下のトンネルがあり、津波で押し寄せた海水などが汚染水となって現在も400から500トンたまっています。この汚染水について、東京電力が2015年12月3日にサンプルを採取して濃度を測ったところ、1リットル当たり放射性セシウムが48万2000ベクレル、ベータ線という放射線を出す放射性物質が50万ベクレルそれぞれ検出されました。
これは、2014年12月に行った前回の調査と比べて4000倍から4100倍に上昇したことになります。
問題のダクトが隣接する「廃棄物処理建屋」は、溶け落ちた核燃料を冷やしたあとの極めて高い濃度の汚染水を一時的に保管するのに使われています。
東電では、建屋でためている高濃度汚染水が何らかの理由で流入した可能性も含め、原因を調べています。また、周辺の地下水の放射性物質濃度が上がっていないことなどから、外部には流出していないとしています。
放射性物質の濃度が自然に増加する事はありえないため、建屋とのつながり部分か止水部分のどこかに亀裂等があり、そこから高濃度汚染水が流れ込んでいる事が考えられます。一刻も早く原因を解明し対応しなくては、今後も放射性物質濃度の急上昇が続く可能性があります。
福島原発事故からまもなく5年目を迎え、建屋や汚染水タンクの経年劣化も当然避けられない問題となるでしょう。
福島第一原発の排気塔では支柱に複数の破断変形やさびが見られており、専門家は危険な状態であると述べています。排気塔周囲の汚染は最大で25,000mSv/時あり、10数分で致死量に達します。今後もし倒壊すれば放射性物質が飛散する可能性があり、迅速な対応が求められています。(2015年2月20日赤旗新聞より)
又、チェルノブイリ原発では事故から29年が経過した現在、封印されたはずの4号炉が深刻な事態を迎えています。石棺の老朽化により、すでに一部の壁や屋根の崩壊が始まっており、再び放射性物質が漏れ出そうとしています。これに対しチェルノブイリ原発では、石棺を丸ごと覆うシェルターを作り始めていますが、その耐用年数はおよそ100年だそうです。放射能による汚染は半減期から考えると1,000年は消えず、シェルターを10回は作る事になります。
トラブルが絶えない福島原発の廃炉ですが、これからますます困難を極めていく事が予想されます。廃炉が果たして可能であるのか、それすらわからないのが現状です。
これほどのリスクを持つ原発について、まずは一人でも多くの方に真実を正確に知って貰う事が大切であるように思います。なぜなら、人はまず知る事により、想いが創られ、そして行動に移す事が出来ると思うからです。そのためにも今福島で起こっている事を、可能な限り真実に迫り、分かりやすく発信していきたいと思っています。