東京電力福島第1原発事故後、福島県で見つかっている子どもの甲状腺がんの多くは被ばくで発症したものだと主張する分析結果を岡山大の津田敏秀教授(環境疫学)らのチームがまとめ、国際環境疫学会の6日付の学会誌電子版に発表しました。別の疫学専門家からは「結論は時期尚早」との指摘があります。
研究チームは、福島県が事故当時18歳以下だった約37万人を対象にした昨年末時点までの甲状腺検査の結果を分析。年間発症率は事故前の日本全体と比べ、20~50倍と算出しました。さらに福島県内でも地域によって発症率が最大2・6倍の差があり、チームは「発症率が桁違いに多く被ばく以外の要因で説明することは不可能だ」と結論づけました。
チェルノブイリ原発事故で数年経ってから多くの事が明らかになったように、福島原発事故による健康への影響についても結論付けられるには、長い時間がかかる事が予想されます。
福島原発事故後に見つかった小児甲状腺がんの原因が明らかになる事で、得られる事は大きいでしょう。原因が事故時の被ばくによるものなのか、あるいは飲食物による体内被ばくなのかによっても、今後の対策が大きく変わってくると思います。その対策により、しなくてもよい苦労をせずにすむ若い人がいるかもしれません。結論が下されるのが遅くなればなるほど、原因の究明にも遅れが生じるのではと懸念しています。
福島県郡山市で暮らすある一児のお母さんに、今最も不安に感じている事を聞いたところ「子どもの将来の健康」との答えが返ってきました。子どもの健康を守るために、福島県内の小児甲状腺がんの増加について一刻も早く結論づけ、原因の究明と対策が進む事を願っています。