(2015年8月12日朝日新聞掲載記事より)
2015年8月11日に再稼働した九州電力川内原発(鹿児島県)の火山対策について、専門家からは異論が出ており、国内のみならず海外メディアでも懸念の声があります。
川内原発160㎞圏には、活発な活動を繰り返す桜島や阿蘇など39の火山があります。地質調査から、過去に巨大噴火の火砕流が原発近くまで届いていたことも分かりました。火砕流は、原発の設計で対応することが出来ない災害にあたります。
九州電力は、稼働期間中に巨大噴火が起こる可能性は十分低く、巨大噴火につながりそうな変化を観測すれば運転を止めて核燃料を運び出すとしています。しかし、巨大噴火が日本で起きるのは1万年に1回程度。観測経験がなく、前兆があっても判断できないというのが火山学者の間で広く共有されている認識です。さらに、核燃料の搬出先も未定です。
又、川内原発周辺には、過去に巨大噴火が起きたことを示すカルデラ(大きなくぼみ)が主なものだけで五つあります。
特に、川内原発から約50キロメートルと最も近くにある姶良(あいら)カルデラが噴火した場合被害は大変なものとなり、火山学者から多くの警告が出ています。
鹿児島大学の井村隆介教授(火山学)によると、
「噴火に伴う原発事故の場合、火山灰に放射性物質がくっついて、風に乗って全国に降り注ぐことになります。しかもカルデラ破局噴火の場合、日本最大の地上の火山である富士山と同じくらいの体積の降下物が飛散します。それだけの降下物が放射能を伴って日本中に降り注ぐ可能性を考えないといけません」と言っています。もしそうなれば、日本は壊滅です。
東京電力福島第一原発事故では、未曾有の大きさの津波に襲われました。私たち日本人は3.11を通し、天災は予測不可能であると身をもって学んだはずです。
私は震災を通して、人が予想出来る恐怖はたかが知れており、本当に恐ろしい事は予想を遥かに超えるものだと知りました。
今は静かに眠っている火山がいつ動き出すか誰にも分からない中、経済最優先に動き初めた原発再稼働を傍観していても良いのでしょうか?
未来の平和は、偶然の積み重ねではなく、私たちの正しい選択で創り上げていく強固なものでなければならないと思います。