平和の灯 守れる? 印のプルトニウム抽出 容認方針

(2015年7月10日中日新聞掲載記事より)

日本からインドへの原発輸出を可能にする目的で進めている原子力協定交渉で、政府は使用済み核燃料の再処理を認める方針です。
この使用済み核燃料であるプルトニウムは核兵器への転用が容易で、日本が原発輸出国の立場で相手国の再処理を容認するのは初めてとなります。
日本とインドで協定が締結されれば、福島原発の事故後国内での原発新設が困難となっていた東芝や日立製作所など原発関連企業にとっては、急成長しているインドの原発市場への参入が可能になり、大きな追い風となります。

すでに米国とインドで結んでいる「米印原子力協力協定」では、使用済核燃料の再使用を認めています。日本政府内には、インドの再処理容認に慎重論がありましたが、共に原発売り込みを狙う米国が「米印原子力協力協定」で容認しているため、米国に追随して日本も従来の姿勢から大きく踏み出すことを決めたのです。
又、インドを特別扱いして関係を深め、中国を牽制したいという狙いもあります。

国内の原発再稼働、国外への原発輸出のどちらからも、政府が原発を肯定している姿勢が伝わってきます。このままでは広島、長崎、そして福島で原子力の犠牲になった人たちの想いが風化されていく懸念があります。
福島で暮らしている人々から、福島原発事故からの年月の経過と共に、次第に放射能のことを忘れようとしている傾向を感じます。それはこのような日本の政治の方向性から影響を受けているのかもしれません。
今、福島で暮らす自分に出来ることとして、経験した者だからこその声を拾い、残していくことの義務を感じています。

そして平和のために、私たち一人ひとりが声をあげ、大きな声として正しい方向へと導いていく努力が必要なのだと思います。