福島県2巡目の子ども甲状腺検査 がん確定30人に・前回から14人増える

(2016年6月7日福島民報新聞掲載記事より)2016年6月7日民報新聞

東京電力福島第一原発事故を受け、2014年4月に始まった2巡目の子どもの甲状腺検査(本格調査)で、2016年3月末までに甲状腺がんと確定したのは30人となり、前回公表(2015年12月末現在)の16人から14人増えました。

県民調査検討委座長は子どもたちの中でも放射線の影響を比較的受けやすい若い年齢層に多く発症してない状況などを踏まえ「現時点で放射線の影響は考えにくい」とする見解を改めて示しました。

しかし、検査結果【表①】を見てみると『悪性、悪性疑いの割合』が福島第一原発周辺の避難区域となっている自治体や、福島市や郡山市など空間放射線量の高い地域に比例している事が分かります。表①この結果から、原発事故との因果関係を疑わざるを得ませんが、一部の専門家の間では依然として否定する態度に変わりはありません。

原発事故後、福島県では甲状腺がんと診断された、およそ130人の子どもたちが既に手術を受けています。その7割以上にリンパ節転移があり、その内の7割は1センチ以上の腫瘍で、肺転移している例もあります。このことから進行の早いがんである事が分かり、手術は早すぎると決して言えません。

もし仮に、一部の専門家が主張するように、「過剰診断」によるがんの多数診断で不必要な手術を受けてしまうようなケースが万一出た場合には、手術を受けた本人やその家族へ長期に及ぶケアや然るべき補償をするべきだと思います。

定期的な甲状腺検査を強いられる子ども達やその保護者は、一時もその不安やストレスを忘れて日々を過ごすことはできません。

真実に目を向けようとしないどころか、隠蔽しようとさえするような大人の都合で犠牲となり、翻弄される子どもたちが今後増えていく事のないよう、私たちは、真の情報を得る努力をし続けなければならないのではないでしょうか。

 

甲状腺検査
1巡目の先行検査は原発事故当時に18歳以下だった約37万人が対象で、2巡目の本格検査は事故後1年間に生まれた子どもを加えた約38万人が対象。それぞれ1次検査は超音波を使って甲状腺のしこりの大きさや形を調べ、程度の軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定する。大きさが一定以上で「B」「C」とされれば、2次検査で血液や細胞などを詳しく調べる。