震災から5年目のボランティア

東日本大震災から5年が経過しました。節目である年を迎えるに当たり、共に歩んできた方々がこれまでを振り返り今想う事を、リレー形式で掲載します。
2人目は、福島県いわき市小名浜で仮設居住者支援を行っている『小名浜 聖テモテ支援センター』でボランティアに携わってきた中原よし子さんです。


 

『震災から5年目のボランティア』

 小名浜聖テモテ教会 エリサベツ
中原よし子

何もかも失われ心が折れていた私に、神様が一つのレールを敷いてくれました。それがボランティアという道でした。初めての経験です。どう接すればいいかわかりませんでしたが、仲間に加えていただきました。大変戸惑いましたが、京阪神3教区(京都・大阪・神戸)の聖職・信徒の方々が、同じ仲間同士として心を開いてくれました。しかし3教区の方々と接するのも初めてです。不安の中、ボランティア活動が始まりました。

3教区の方々の仕事を見ながら学ばせていただき、時間をかけお手伝いをさせていただきました。仮設住宅でのほっこりカフェでは、一人ひとりに一杯のコーヒーを配り、寄り添って話しかけ、自分自身を証ししたりして近づいていきました。少しずつ話しかけてくれる仮設の方々が増えていきました。一人ひとりの声が大きくなっていきました。とても嬉しくなり、ついつい一緒になり、仮設の住民と間違われることもあるくらいはしゃぐこともありました。あるご婦人は私の手をいつも握って「ありがとう、ありがとう」と言ってくれましたが、その言葉に私の感謝が一杯です。お手伝いをして、本当に良かったと思いました。

自分達のことは自分達で頑張ろうとする姿勢が見られたのは、仮設の住民によるボランティアグループが発足したことです。あれだけの悲しみを経験し大変な生活をしているのに、人のために手を貸してくれる素晴らしい心に感謝でした。

5年間の中には、悲しいこともありました。ボランティア仲間の逝去です。わたしが戸惑っていた時、いつも声をかけてくれた彼女は、今は天国で私たちを守ってくれていると思います。

泉玉露仮設でのほっこりカフェは、週2回(月・金)です。渡辺町昼野仮設も、同じく週2回(木・土)です。週4回、とても楽しくお手伝いをさせていただいています。今では、私の方が仮設の方々に癒されていると思っています。このボランティアとしての関わりがなければ、本当にどうなっていたかわかりませんでした。

仮設に多くの友人ができました。同じ人間同士ですもの、どこでまたお世話になるかわかりません。深い悲しみを乗り越えきてた仮設の方々と、命の大切さをますます伝えなければならないと思います。生きていれば、楽しいことが一杯待っています。ある時、一人の女性が「ほっこりに中原さんがいてくれてホッとした」と泣きじゃくりました。私には、ほっこりで辛くて耐えられない事が何度かありましたが、いつもその言葉を思い出し、一人の方のお役に立ったと思うとボランティアをやってきて良かったと思いました。

仮設の方々は、まだまだ将来への不安を抱いていると思います。復興住宅に入られても、不安は解消されないと思いますが、皆さんと手をつなぎあい、周りの方々とつながりを作り出すことが必要と思います。

建物の復興はできても、心の復興は未だに見えていません。月日が経つにつれ、ますます孤独感は大きくなると思います。自分から進んで友達を作っていただけたらと思います。私は知らなかった方々とボランティアして、友人ができ、支えられて生きています。特に日立聖アンデレ教会の信徒さんには感謝でいっぱいです。あなたの支えがなければ、ここまでやることはできませんでした。また3教区の方々のことも、決して忘れません。どんな時でも笑顔で接する姿を忘れません。今もほっこりカフェのために、美味しいお菓子とメッセージを送っていただき、ありがとうございます。まだまだ続くボランティア、少しでも寄り添えたら幸いと思っています。