福島の子どもに、遊び、育つ権利を

(2016年3月13日赤旗新聞掲載記事より)2016年3月13日赤旗

福島県郡山市にある、『ペップキッズこおりやま』。ここは放射線を気にせず遊んでもらおうと、2011年12月に開館された屋内施設です。
福島県では自治体の屋内遊び場確保事業を活用して65施設が開設しました。その先駆けである『ペップキッズこおりやま』は毎年約30万人が利用する県内最大規模の施設です。郡山市の委託事業として、NPO法人・郡山ペップ子育てネットワークが運営しています。

小学校の体育館をしのぐ広大な空間に遊具がいっぱい。人間にとって基本的な36の動きを身につけられるといいます。70平方メートルの砂場や全力で走れるランニングコース、三輪車のサーキットやボール遊びの場所もあります。放射能のせいで、外で遊べない子どもが、親と共に県下各地から集まります。

ボールをかき分けて歩く「ボールプール」で5歳と3歳の娘2人と遊んでいた佐藤健太郎さん(36)は「外遊びはまだ不安だけど、ここなら安心。月3回の利用を子ども達が楽しみにしている」と話します。無料で利用でき、1回につき90分間遊べます。

ペップキッズこおりやまの運営にかかわる小児科医・菊池信太郎さんは、幼稚園児を調べ、原発災害の後体重の増え方が前年の3分の1ぐらいに落ちた事を明らかにしています。又、「福島の現状は、子どもが遊び、育つ権利の大切さを教えてくれました。私達大人の責任で、その権利を最大限に補償しなければなりません」と述べています。


 

5年前の原発事故は、福島の子どもから体力や遊び場を奪い、発育や人格形成に少なくない障害をもたらしました。
福島県郡山市で子育て中のあるお母さんは、震災以降子どもに一切外遊びをさせていないと言います。共働きで忙しく土日に車で遠出する事も難しいので、学校が無い日は子どもは家の中でゲームばかりしているそうです。多感な時期に外遊びを制限される事が、将来どのような影響を及ぼすのか、不安を感じていると話してくれました。そして、子どもに自然の中で思い切り遊ぶ思い出を与えてあげられなかった事に、罪悪感を抱いているそうです。
このような環境で子育てをする事は、親のプレッシャーも相当であり、家庭にも何らかの影響を及ぼすのではないだろうかと心配しています。