(2016年3月7日赤旗新聞・福島民報新聞、9日朝日新聞掲載記事より)
東京電力福島第1原発で事故対応に当たる作業員のうち、厚生労働省が白血病労災認定の基準の一つとする年間被ばく線量5ミリシーベルトを超えた人は、2016年1月末で延べ3万2000人余りとなった事が分かりました。原子炉内部の調査や使用済み燃料プールの核燃料搬出など困難な仕事が控えており、今後も被ばく線量が通常の原発より高くなるのは確実です。2012年度以降は、東電より関連会社の被ばく線量の方が大きく、その差も拡大しています。
作業者の被ばくに関しては、電力会社社員に比べ、請負会社などの社外の作業員の放射線被ばくが平均の4倍の線量にのぼることもわかりました。全体の9割近くが社外の作業員であるため、総被ばく線量では約30倍になります。より危険な業務に下請け作業員を当たらせているという実態が次々に明らかになってきています。
福島第一原発事故後、原発作業員の入れ代わりは激しく、特に放射線量が高い現場では3か月ほどで被ばく線量の限度に近づいて原発を離れるケースもあるそうです。又、その危険に見合った待遇とは言えず、(月平均20万円程度で、除染作業員の方が待遇が良い場合もある)不満の声も上がっています。廃炉まで少なくとも40年はかかると言われるなか、今後ますます人材の確保が難しくなってくる事が予想されます。
福島第一原発は、現場の作業員の人々の努力のおかげで、かろうじて冷温停止状態が保たれています。私達は、彼らの努力に対する敬意と感謝を忘れてはいけないと思います。
そして原発作業員の方々の健康に対し、雇用後まで及ぶ確かな補償制度を国は早急に確立するべきだと思います。