2016年2月6日に、ロンドンのサザーク大聖堂で『東日本大震災5周年記念礼拝』が行われました。

式文
東日本大震災5周年記念礼拝での式文

2016年2月6日に、ロンドン・ブリッジ近くに位置するサザーク大聖堂で、東日本大震災5周年記念礼拝が行われました。

(撮影:Shu Tomioka,Shin Adachi )

礼拝の中で、ゲストスピーカーとして原発問題プロジェクトの事務局長池住圭さんより、原発の被災者と被災地の現状報告がなされました。

大聖堂内には、当プロジェクトの活動内容を紹介するブースも設置されました。被災者とボランティアの方々の交流の様子がうかがえる写真とともに、「Let Us Walk Together」と書かれたティータオルが掛けられました。このティータオルには、被災者の方々の言葉や支援者の言葉がデザインされています。

この追悼礼拝は、2013年に次いで2度目となります。震災から5年目を迎えるに当たり、日本から遠く離れた英国で、被災者とそのご家族に思いを馳せる時を共にするこの追悼式は、英国に在留する日本人と英国人の協働により提案されたものです。

パリ在住のソプラノ歌手、伊藤愛さんの歌声が響く中、マイケル・イプグレイブ主教のもとに始まった追悼礼拝。

(マイケル・イプグレイブ主教によるお説教はこちら➡  原文 /日本語翻訳文

お説教の後には、パイプオルガンが奏でる「ふるさと」に思いを馳せて、在英日本大使館の加藤元彦特命全権公使やサザーク市長を筆頭に、参列者全員が祭壇の横に置かれた2本の木に桜の花びらを飾り付けました。

事前に参列者一人ひとりに配布された花びらの一枚一枚には、震災で死者の出た地名が記されており、亡くなった方々や遺族、そして、今もなお困難の中にいる被災者一人ひとりを覚え続けるという強い思いが込められています。

満開となった桜はライトアップされ、復興に向けての希望の光を放っていました。

2016年2月6日チャーチタイムズ
2016年2月6日イギリスの新聞『CHURCH TIMES』に掲載されました。

追悼式の前後には、いくつかの場所で当プロジェクトの活動や原発事故による被災状況に関する報告会が開かれました。

ある報告会で、『JAN UK』という団体の方が、自己紹介に来てくれました。この『JAN UK』は、原子力発電所立地国である英国において、反原発・脱原発に向け声をあげようと集まった、日本人を中心とした個人の団体です。
『JAN UK』のwebサイト➡   ツィートはこちら➡)

2012年8月から日本大使館前で毎週金曜に抗議行動を開始し、同年10月からは東電ロンドンオフィス前でも活動を始めています。

『JAN UK』は団体というよりもネットワークに近く、代表者もいません。問題意識を抱えた個人が、出来る範囲で集合しているそうです。参加者の一人である女性は、『何もしなければ犠牲者の上に成り立っている原発、そしてそれを許すシステムを黙認することになってしまうとの一心で、どうすれば良いのか悩みながらできることを模索している。』とお話されています。

teatowl

このティータオルは、当プロジェクトに関わった方々の寄せ書きと、『被災者支援センター しんち・がん小屋』の方々の言葉を掲載したものです。

現在イギリスに在住の聖公会信徒であるユキ・ジョンソンさんが、震災から5年経った今も福島を忘れずにいようとの願いを込めて、作成して下さいました。

1枚4.5ポンドで販売し、そのうち制作にかかったコストを除いた分を当プロジェクトへ寄付して下さっています。
震災や原発事故が時間の経過と共に次第に風化されゆくのを実感する昨今ですが、このようなあたたかな励ましに支えられています。ご協力頂きました方々へ、心より感謝致します。