指定廃棄物受け入れについて、福島県知事「苦渋の決断」 富岡・楢葉町長「古里復興へ容認」 

(2015年12月4日福島民報新聞掲載記事より)

東京電力福島第一原発事故の指定廃棄物を福島県富岡町の管理型処分場に埋め立てる国の計画に対し、富岡、楢葉両町と福島県は計画受け入れを決めました。搬入開始は早くても来年6月以降になるとみられます。

指定廃棄物とは、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8,000ベクレルを超え、環境大臣が指定した廃棄物を指します。その処分先は、放射性物質汚染対処特措法に基づき、放射性物質濃度で分類され決まります。放射性セシウム濃度が1キロあたり8,000ベクレルを超え、10万ベクレル以下の廃棄物は富岡町の管理型処分場「フクシマエコテッククリーンセンター」で埋め立てられます。10万ベクレルを超える高濃度の廃棄物は、四方をコンクリートで遮断した遮蔽型処理施設で管理する必要がありますが、福島県内にはないため、大熊、双葉両町に整備が計画されている中間貯蔵施設の専用施設に保管します。一方、除染で出た土壌は指定廃棄物とならず、放射性物質濃度にかかわらず中間貯蔵施設に保管します。

(※1ベクレルとは、1秒間に1つの原子核が崩壊して放射線を放つ放射能の量です。そもそも放射能とは放射線を発する能力のことですが、その能力を表すのがベクレル人体が直接受ける放射線量を表すのがシーベルトです。同ベクレルの放射能が存在しても、それから受ける放射線の強さは条件によって異なります。すなわち、放射性物質の種類や測定点までの距離、間にある遮蔽物の効果などによって異なります。また、食品衛生法による暫定的な規制値として、放射性ヨウ素については飲料水や牛乳で1キロ当たり300ベクレル、野菜類は同2000ベクレル、放射性セシウムについては飲料水や牛乳は1キロ当たり200ベクレル、野菜や穀類、肉、卵などでは同500ベクレル以下と定められ、これを超える食品は食用に回らないように自治体などに求めています。)

指定廃棄物の処分場受け入れ決定は、計画がある6県のなかで福島県が初めてとなります。地元の反対などで他県の処分場計画が進まない中、合意形成のモデルとなることを懸念しています。

(2015年11月29日福島民報新聞掲載記事より)

又、2015年11月29日の福島民報新聞に掲載された、共同通信が実施した各都道府県への調査によると、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定の受け入れに前向きな自治体は、福島県を含めてないことが分かります。

調査では福島県を含む13府県が「一切受け入れる考えはない」と回答しました。このうち4県は原発が立地しています。「受け入れは難しい」が8道県、方針を示さないのが24都府県ありました。
経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)は今後、候補地として科学的に適性が高い地域を科学的有望地として公表する方針ですが、このままでは反発を招きかねないことが予想されます。

これまで、国は原子力政策の推進を先行し、廃棄物処理問題については結論を先延ばしとしてきました。
今、核のゴミの最終処分先について結論を迫り、自治体はもちろん国民一人一人が真剣に向き合っていく事が大切だと思います。そうする事で、本当に原発は必要なのか、国のエネルギー政策について改めて考え直す機会となるのではないかと思っています。