福島第一原発で豪雨による汚染雨水流出

(2015年9月10・12・13日福島民報新聞、2015年9月12日朝日新聞掲載記事より)

2015年9月9日と11日、今回の大雨の影響により東京電力福島第一原発構内の排水路から放射性物質を含む雨水が海に流出しました。

流出が相次いでいるのは「K排水路」です。「K排水路」は原子炉建屋周辺の雨水を流すための設備で、港湾外に直接つながっています。放射性物質を含む雨水が流出していることが分かり、東京電力では今年4月に応急対策を実施しましたが、それ以降少なくとも7回流出が確認されています。

福島県から原子力規制委員会に汚染雨水の排出基準を設けるよう求める声が出ていますが、実現する見通しは立っていません。
原子炉等規制法には汚染雨水の取り扱いが明記されていません。原子力規制委は法的根拠がない限り、排出基準を設けるのは難しいとする立場です。「対応するには法律を変える必要があり、かなりの時間を要する」と明かす関係者もいます。

これまでも汚染雨水の海への流出は繰り返されており、東京電力はこの事実を把握しながら今年2月末まで公表していませんでした。
そうした経緯から、漁業者の東京電力に対する不信感には根強いものがあります。
これから台風シーズンを迎える中、さらなる風評被害を生み出さないためにも、東京電力の誠実な対応を願っています。