(2015年7月9日福島民報新聞掲載記事より)
2015年8月11日、国民の合意形成がないまま国内で再び原発が動きだしました。
九州電力川内原発1号機(鹿児島県)が再稼働する前も、国民の間では原発への不安が消えませんでした。日本世論調査会の2015年6月の世論調査では、再稼働に「反対」が63%で、「賛成」31%を大幅に上回りました。このため政府は民意を刺激しないよう、「再稼働はあくまでも電力会社の経営判断」との姿勢を取りながら、水面下で環境づくりを進めてきました。
NHKの全国で行った世論調査では、『川内原発の再稼働に賛成ですか、それとも反対ですか。』という質問に対し、“賛成…32%”、“反対…57%”という結果が出ています。
また、『東京電力の福島第一原発事故を受けて、新しい規制基準が制定されました。あなたは、この新しい基準に適合した原発でも、住民が避難するような事故が起きるおそれがあると思いますか。それとも思いませんか。』との質問には、“あると思う…81%”、“ないと思う…10%”、さらに『原発事故に備えて各自治体が作成する避難計画について、政府は支援を行い、審査までは必要ないとしています。あなたは、このことについてどう思いますか。』という質問には、“支援で十分だと思う…8%”、“支援だけでは不十分で、避難計画を政府が審査すべきだと思う…82%”という結果が出ています。
このように国民の反対の意志が強い中で、政府は個々の原発を再稼働するかどうかの最終判断に政権は関与しないとも説明しており、あくまで事業者の判断に任せています。
(2015年8月25日朝日新聞掲載記事より)
又、川内原発の再稼働後に行われた朝日新聞社の全国世論調査(電話)では、川内原発の運転再開について尋ねると、「よかった」は30%で、「よくなかった」の49%が上回りました。原子力発電を今後どうしたらよいか質問すると、「ただちにゼロにする」が16%、「近い将来ゼロにする」が58%、「ゼロにはしない」が22%でした。
反対の世論に向き合おうとしない政権の「見切り発車」を前例にするべく、各電力会社が追随しようとしています。国民の意向を無視し、いったい誰のための原発なのでしょうか。福島原発事故の被災者の苦しみを、身をもって体験して欲しい。そうすれば誰一人として原発を肯定する人はいないと心から思います。