福島原発の凍土遮水壁、年度内完了困難

(2015年7月5日福島民報新聞掲載記事より)

凍土遮水壁 年度内完了困難に
凍土遮水壁 年度内完了困難に

東京電力福島第一原発で増え続ける汚染水対策の切り札は、1~4号機の建屋周囲1.5キロの地盤を凍らせる「凍土遮水壁」です。これは、地下に約1500本の凍結管を埋め込んで冷却材を循環させて地盤を凍らせ、地下水流入を抑える計画です。4月末に試験凍結が始まりましたが、技術的な問題が生じ工程に遅れが生じています。原因を究明し対策する方針ですが、終了時期の見通しは立っていません。年度内の凍結の完了は難しく、このままでは廃炉工程に影響が出る可能性があります。

第一原発3号機燃料取り出し 設備設置難航か 高線量と損傷、作業阻む

又、使用済み核燃料プールからの燃料取り出しについても、2018年に3号機での作業を予定していますが、現場の放射線量が高く難航が予想されます。3号機周辺の空間線量は最高で1時間当たり約220ミリシーベルトと依然として高く、作業を困難にしています。

現在、構内で働く作業員は1日6千~7千人。多くが除染や汚染水タンク増設、凍土遮水壁の工事などの作業に当たっています。事故前の運転中や定期検査のピーク(4千~5千人)を上回る人員規模となっています。
高線量下の作業もあるため、被ばく線量の管理は欠かせません。労働災害も増加傾向にあるといいます。1月にはタンクの検査中の男性作業員が10メートルの高さから落下して死亡する労災事故が発生しました。

事故から4年余りたちますが、現場は過酷な労働環境で、廃炉作業の道のりは険しいことが予想されます。