試行錯誤の放射線教育

(2015年6月3日福島民友新聞掲載記事より)


福島県内の小中学校で行われている放射線教育が、学校側もまだ方法が未確立であることと、子どもたちの関心の低さにより試行錯誤しています。充分な教育が受けられらなければ、子どもたちが将来進学や就職で県外に出た際に、放射線にまつわることで様々な問題が生まれてくるであろうことが予想されます。
原発事故から5年目となり、年月の経過と共に放射能の問題に対する関心が薄くなっていることは、自分自身はもちろん、ここで暮らす人々の様子からも常に感じています。

私も最初の一年目は不安でたまらず、窓も開けず、外出せざるを得ない時にはマスクも必ずしていました。
スーパーで買う食材は、福島県産を避けるのはもちろん、北関東や山形県の米沢市も線量が高いとのことだったので常に注意深く確認し購入していました。
しかし、人間というのは目に見えない放射能への不安を持ち続ける事が耐えられないようです。現実には事故後から空間線量もそれほど下がっていないにも関わらず、今ではほぼ原発事故前のような生活を心の隅に不安を残しながら送ってしまっています。

放射線の影響は、身体だけではなく心の方も、年齢が若いほど大きいのかもしれません。将来への不安や差別とこれからずっと付き合っていかなくてはならない子どもたちへ、質の高い正しい放射線への教育を与えることはとても大切です。
もっと言えば、親が放射線への正しい向き合い方を見せることで、子どもも関心を持つようになるのではと思います。

例えば、日本は世界で一番レントゲンをとるそうです。2015年6月16日朝日新聞掲載記事によると日本人の医療被ばくは先進国の平均の2倍。分子生物学者の河田昌東氏によると日本ではレントゲンの取りすぎで年間2000人白血病になっているとのことです。
その様な知識があると、自分を守る選択の自由が生まれてきます。

不安だからこそ本当の事を知り、自分の意志と行動で主体的に生きることが大切だと放射線の問題を通し日々感じています。