親愛なる兄弟姉妹・求道者の皆さまへ (2020.4.17)

主教アンデレ 晴久

イースターおめでとうございます。


まず、お祈りしましょう。

神さま、世界各地で新型コロナウイルス感染によって、苦難や悲しみ、恐れや不安を背負わされている方々のため、そして困難の中にある医療従事者の方々の上に、経済的な困窮の中にある方の上に、神さまのなぐさめと支えとお守りが豊かにありますように、わたしたちの主イエス・キリストの御名によってお祈り致します。アーメン


 マタイによる福音書281節から10節には、明け方早く、二人の女性がイエスのお墓に行ったことが記されています。墓とはどういう場所でしょうか。

 墓は、故人を偲ぶ場所ですが、今墓に向かって歩むマグダラのマリアともう一人のマリアにとって、この墓は大事な人イエスを失ったという計り知れない喪失感、深い悲しみ、心を引き裂かれるような思い、深い後悔の念、将来への不安、一人真っ暗闇に放り出されたような恐れを表す場所となっています。大事な人が無残な死によって奪われ、私の傍らにはもういないことを示す場所です。


しかし、その場所で、神さまの御業が現れました。地の基が揺れ動き、主の天使が近寄り、墓をふさぐ大きな石をわきへ転がしてくれました。悲しみと絶望で包まれたこの場所が、稲妻のような輝きと雪のような白い明るさに包まれます。何かが心を突き抜けたようです。主の天使は言いました。「恐れることはない。急いで行って弟子たちに告げなさい。あの方は死者の中から復活された。」二人が墓を立ち去り、恐れながらも、弟子たちに知らせるために走り出しました。


その時です。「おはよう」と呼び掛ける懐かしい声。復活のイエスが行く手をふさぐかのように、通せんぼでもするように立って、「おはよう」と言われます。私はこの場面で、思わず微笑むとともに涙が出そうになります。親しみあふれる意外なことばに、肩の力が抜けて、ほっとさせられるからでしょうか。そして言われます。「恐れることはない。行って、わたしの兄弟たちにガリラヤ(出発点に帰れ)へ行くように言いなさい。そこでわたしに会うことになる。」


天使は女性たちに「弟子たちに告げなさい。」と言いますが、イエスは、「わたしの兄弟たちに」と言われます。十字架の出来事の前に、弟子たちの足を洗った時、イエスは弟子たちに言いました。「わたしはあなたがたを僕とは呼ばない。友と呼ぶ」と。死を潜り抜けて復活されたイエスは、弟子たちを「わたしの兄弟」と言われます。イエスのお墓の前で一人泣くマグダラのマリアには、「マリア」と呼び掛けられます。名前で呼びかけられるのです。


わたしは、531日聖霊降臨日、教会のお誕生日とも言えるこの日に、わたしの兄弟たちよ、姉妹たちよ、そしてわが友よと一人一人の名前を読んでくださる主イエスと共に、久しぶりに再会する一人一人と、主の兄弟・姉妹、友として、一緒に礼拝をささげたいと願っております。しかし決して予断は許しません。教会に集うことが難しい状況が継続されることが予想されます。家庭での礼拝となりましても、聖霊の御力が豊かに注がれますようにお祈りします。


わたしたちは今礼拝を共に守ることはできませんが、死の悲しみと絶望、恐れを打ち破り、私たちを命の光へと導いてくださるイエスと共に、この難局と向き合い、乗り越えて参りましょう。

Andrew


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