聖公会とは…
★英国国教会につらなるキリスト教会です。
ヨーロッパ大陸での宗教改革の影響や英国国内での国民意識の高揚のもとで、16世紀半ばに英国でも宗教改革が起こり、ローマカトリック教会から分離した英国国教会(英国聖公会)が成立しました。日本の聖公会は19世紀に英国や米国の聖公会から宣教師が来訪してその教えを広め、1889年に日本聖公会として組織が確立されました。聖公会は、今では世界50カ国に広がる全世界聖公会(アングリカン・コミュニオン)に発展し、互いに独立性を保ちながら、英国聖公会のカンタベリー大主教座との交わりを大切にしています。
★各国の文化を大切にします。
聖公会は、それまでラテン語で読まれていた聖書を民衆に分かる英語に翻訳して聖書を読む習慣を広め、英語で書かれた祈祷書に基づいて礼拝を進めるようにしました。これはキリスト教の本当の意味を人々に知らせる上で大きな改革でした。それいらい、聖公会はそれぞれの国の言語で礼拝することを大切にしています。また、それぞれの文化的伝統に根付いた教会のあり方を追求しています。
★ヴィア・メディア(中道)の教会です。
聖公会は宗教改革の結果生まれた教会としてはプロテスタントに属していますが、古代教会が追求したカトリック的(普公的)伝統を大切にしています。ですから、み言葉(聖書)とサクラメント(イエス・キリストの体と血をあらわすパンとぶどう酒をいただく聖餐式などの儀式)の両方を大切にしています。そういう意味で、プロテスタントとカトリックの両方の良いところを取り入れているといっても良いかも知れません。そのような教会のあり方を「ヴィア・メディア(中道)」と呼んでいます。
★聖書と伝統と理性を大切にします。
聖書を大切にするのは、その中に、全人類の救い主であるイエス・キリストの出来事がすべて記されているからです。
伝統を大切にするのは、教会の中に蓄えられたこれまでの歴史的経験を受け継ぎ、未来に向けて発展させようとしているからです。
理性を大切にするのは、聖書や教会の伝統に目を向けるとともに、新しい真理の発見にたいして開かれた態度をとっているからです。また、理性に基づく他宗教との対話にも積極的に関わっています。
★キリスト教の一致を目指します。
イエス・キリストの教会は本来一つであるはずです。ところが過去の歴史の中で、ローマカトリック教会、東方教会(正教会)、プロテスタント諸教会など、多くの教派が生み出され、時には激しく対立したこともあります。聖公会はそうした諸教会が相違を認めつつ再び一致に向かうこと(エキュメニズム)を支持しています。自らを「ブリッジ・チャーチ(橋渡しの教会)」と呼んでいるのはそのためです。
★多様性の中の統一
ヴィア・メディアを行くということから、聖公会の中には、多様な傾向、多様な考え方が共存しています。プロテスタントの改革精神を重視する人々から、カトリック的伝統を重視する人々まで、多彩なあり方を互いに認め合っています。それを表しているのが、「Unity in Diversity(多様性の中の統一)」という言葉です。
★シカゴ・ランベス4綱領
そうした多様性を認めつつ、一つの教会としてまとまるために、シカゴ・ランベス4綱領を認めています。それは、@啓示された神の言葉としての旧新約聖書、Aキリスト教信仰の十分な表現としての二ケア信経、Bキリストが用いられた言葉と要素を確かに伴って執行される洗礼と聖餐という二つのサクラメント、C歴史的主教制、です。
★多くの学校や施設、病院を支えています。
日本聖公会には、多くの学校や社会福祉施設、病院が属しています。教育や社会福祉、医療の分野での奉仕活動を伝統的に重視してきたからです。学校としては、立教学院、香蘭女学校、桃山学院、平安女学院、プール学院、神戸松蔭女子学院、八代学院(神戸国際)などがあり、社会福祉施設としては、博愛社、聖ヨハネ学園、東光学園、三光塾ほか、病院には聖路加国際病院、聖バルナバ病院などがあります。
日本聖公会のシンボル:ローズコンパスの中に「NIPPON SEI KO KAI」と記されています。