聖公会の特徴

 「キリスト教」とひとくくりにした言い方がされますが、2000年の歴史の中で、じつにさまざまに多様化して、今に至っています。わたしたちの「聖公会」は、どんな特徴を持っていると思われますか?ちょっとだけですが、ご紹介しましょう。



1. 聖公会は中道(ヴィア・メディア)の教会です


 キリスト教に中道とか過激派とかあるの?と不思議に思われるかもしれませんが、16世紀以降の宗教改革の中で、いろんな主張が生まれたのは事実です。もともと、一つであるはずのキリスト教会は、ローマカトリック教会、東方教会(正教会)、プロテスタント諸教会など、多くの教派に分かれ、時には激しく対立したこともあります。

聖公会は、宗教改革の結果生まれた教会としてはプロテスタントに属していますが、古代教会が追求したカトリック的(普公的)伝統を大切にしています。ですから、み言葉(聖書)とサクラメント(イエス・キリストの体と血をあらわす、パンとぶどう酒をいただく聖餐式・ミサなどの儀式)の両方を大切にしています。そういう意味で、プロテスタントとカトリックの両方の側面・特徴を取り入れていると言っても良いかも知れません。そのような教会のあり方を、「ヴィア・メディア(中道)」と呼んでいるのです。

 さらに聖公会は、そうした諸教会が互いに「違い」を認めつつ再び一致に向かうこと(エキュメニズム)を支持しています。そのため、自らを「ブリッジ・チャーチ(橋渡しの教会)」と呼んでいます。



2.「聖書」と「伝統」と「理性」を大切にしています


 「聖書」を大切にするのは、その中に、全人類の救い主であるイエス・キリストの出来事がすべて記されているからです。

 「伝統」を大切にするのは、教会の中に蓄えられたこれまでの歴史的経験を受け継ぎ、未来に向けて発展させようとしているからです。

 「理性」を大切にするのは、聖書や教会の伝統に眼を向けるとともに、新しい真理の発見にたいして開かれた態度をとっているからです。また、理性に基づく他宗教との対話にも積極的に関わっています。



3.多様性を認めます


 このような信仰が、2000年にわたって代々受け継がれ、民族や国を超えて世界に広がり、世界の多くの人々がイエス・キリストを信じるようになりました。そして、神の愛とゆるしを心に受け止めて生きようとする人びとが日曜日に集って聖書の教えを聞き、また、神に自分自身を向けようとするのが、キリスト教会の礼拝だといえるでしょう。あなたも神からの招きと愛を受けていることを、ぜひ実感していただけるようお勧めいたします。

聖公会の礼拝

 私たち聖公会では、礼拝(れいはい)をとても大事にしているだけでなく、儀式の形・方法・内容・道具・礼拝堂などには、いろんな特徴と意味が込められています。そして、祈祷書・聖歌集・聖書が、いつも3点セットで用いられます。(聖書・バイブルは、日本語訳でも多数種発行されていますが、私たちは「新共同訳」を公認使用しています。)


 礼拝は、日曜日。[主日(しゅじつ)]の午前中に行なう聖餐式(せいざんしき・ミサ)が、中心となりますが、朝や夕方の礼拝、洗礼式、結婚式、子ども祝福式、通夜・葬送式、新築家屋や新車の祝福、キリスト教学校の行事など、人生の必要に応じ、また生活に密着して多種多様な礼拝・祈りを行なっています。


 1年間の時の流れには、季節の変化・節目があります。いわゆる「暦(こよみ)」です。聖公会では、教会暦を大切に守り、信仰生活にリズムとアクセントを持たせています。

イエス・キリストは過去の方ではなく、現在も常に生きて、わたしたちと共におられることが重要なことです。ですから、この独特の暦は、主イエスに関わる多くの出来事や、記念日で構成されています。季節(期節)を「色(祭色)」で表わしていること、ご存知ですか?

*「紫」=悔い改め、慎み、待望を表します。降誕日を迎える準備としての降臨節(待降節)、復活日を迎える準備としての大斎節(四旬節)などに用いられます。

*「白」=喜びと純潔を表します。降誕日、復活日、主イエス命名の日、顕現日、昇天日、主イエス変容の日、諸聖徒日、その他、洗礼式、堅信式、聖婚式、特定の聖人祝日などに用いられます。

*「緑」=自然の色、神の恵みと成長、希望を表します。顕現節と聖霊降臨後の長い期節に用いられます。

*「赤」=炎の色、血の色を表し、聖霊降臨日、聖なる幼子の日、聖ステパノ日、聖週などその他、殉教者の記念日に用いられます。


 人の心・気分は、さまざまに変化します。独り静かに物思いにふけり祈りたい、活気があって元気の出る集会に参加したい、荘厳な雰囲気に包まれたい、怒りをぶつけたり喜びを聞いたりして欲しい、悲しみ・つらさを癒されたい、今の気持にぴったりな聖書のことばを聴きたい、等などです。思い切って飛び込んでみた教会の礼拝で、最初からしっくりいくなんてことは無理かもしれません。

 でも、「求めよ、さらば与えられん!」です。今の気持を教会の人に言ってみる、聴いてもらうと、あなたにふさわしい礼拝や、集会についてヒントが得られるかもしれません。その意味で、聖公会は豊かな礼拝リソース、チャンスに恵まれています。「聖公会の礼拝のスタイル・雰囲気が好き」という、形から入ってくる人も結構多いのです。


 聖公会の「祈祷書」による礼拝は、形から入る時に便利です。今祈祷書のどこを使っている、司式者は何をしているかなどは、となりにいる人に聞けば、すぐに分かります。心と声と動作を一つにして、「私たち」、聖職と信徒、あの方と私、みんなが一つ・一緒になる時、それが聖公会の礼拝です。あなたも、ともに礼拝をささげませんか!!

世界と日本の聖公会の歩み(聖公会のネットワーク)

 約450年前に英国で始まった聖公会(アングリカン・チャーチ)は、近代・現代の歴史の流れに沿いながら、世界中に広がりを見せています。その世界的な交わり・連合体を「アングリカン・コミュニオン」と呼んでいます。


 17世紀の英国の勢力圏の拡大、海外進出と植民地をベースに、イングランド国教会(イングランド聖公会)も世界的な進出を遂げました。第1段階の広がりです。北アメリカでは、独立戦争に勝って英国の植民地でなくなった米国の地に、国家教会ではなく、英国から自立した「米国聖公会」(エピスコパル・チャーチ)が誕生しました。この時から、信仰と制度が英国風に画一的ではなく、それぞれの国や民族固有の言語や文化を通して表現される、「多様性の中の一致」を特質とする聖公会の新教会像が誕生しました。


 19世紀から、欧米の海外伝道運動が盛んになり、アジア・アフリカなどへ多くの宣教師が派遣されました。第2段階の広がりです。日本が鎖国を解いて開国し、西洋文明の波が押し寄せるとともに、日本へも英・米・カナダなどから聖公会の伝道が全国的に展開されました。英国の伝道団体(CMSとSPG)や、米国聖公会などから派遣された宣教師の働きが実を結び、合同して1887(明治20)年に「日本聖公会」という一つの組織となりました。


 教会の伝道だけでなく、隣人愛による社会福祉や教育活動も強調され、展開されてきました。幼稚園・学校・大学、病院、社会福祉施設などが多数設立され、地域のために活躍・貢献してきました。各国や各地域にできた教会・施設で育った指導者にまかせるという「地域ごとの管区の独立と、指導権の委譲」が、原則です。

「教会と諸施設」にリンクしてみてください。


 全世界の聖公会が、ゆるやかな連帯・統合を持ち、相互の尊重と協力関係を保つ、これが聖公会の特徴です。10年に一度、世界中の主教が集まる「ランベス会議」も、平等の中の首位者であるカンタベリー大主教の招きで開催され、法的な拘束力を持たないのです。聖公会につながる共通の考えや原則は、「聖公会綱憲」とか「シカゴ=ランベス4綱領」とかいう4カ条にまとめられています。


 現在の「アングリカン・コミュニオン」は、100以上の国にまたがり、アジアでは、日本、韓国、台湾、フィリピン、香港、ミャンマー、マレーシア、インド、スリランカ、シンガポールなどにあります。聖公会の総信徒は約8000万人に上ります。

日本聖公会は、日本列島にある11の教区からできている管区として、「アングリカン・コミュニオン」に属しています。全国に散らばる250を超える教会と、信徒の結びつき・礼拝が、それらを支えています。


 このホームページをクリックして、ひもといて行くと、日本および世界の聖公会の姿や様子が見えてくることと思います。どうぞ、とびらを開いてみてください。

世界の諸宗教との対話、および潮流

2006年8月下旬に国立京都国際会館で、第8回世界宗教者平和会議(WCRP)が開催されました。100カ国以上から、800人を超える諸宗教代表が参加し、キリスト教はその中で最多でした。最終日に採択された「京都宣言」では、「宗教共同体は、特に、あらゆる形態の暴力に対し、その本質を明らかにし、阻止し解決するための中心的な役割を果たさなければならない」「共にいのちを守ることは、全人類が集団的責任を負うことである」と述べられています。宗教者が互いの違いを尊重し、諸宗教協力のネットワークを拡大し、平和と和解のために共に行動することを呼びかけて閉幕したのです。



宗教が違えば、対立・争いは避けられないのでしょうか? 「絶対という発想は一神教の産物」などという言い方を聞くことがあります。しかし、戦前の「神国日本のイデオロギーの絶対的主張と植民地への神社参拝強要」や、「オウム真理教事件の教祖への絶対帰依」などを見ても、「多神的世界」と「和」を尊ぶはずの日本社会が多くの深刻な問題を引き起こしている事実から、眼をそむけることはできません。



聖公会では、これらのことにどう取り組んできたのでしょうか? 聖公会は伝統的にヴィア・メディアの教会と呼ばれてきました。激しい対立をとりなす仲介者の役割を、新しい思想的枠組み(ものごとのとらえ方)を提供しながら総合的に実現してきました。YMCA運動や、20世紀に大きな潮流となった「エキュメニカル運動」「教会再一致運動」は、聖公会の主導によるところが大きかった例です。その後、世界教会協議会(WCC)の結成と働きに結実し、それは今回の世界宗教者平和会議にも反映しています。



近年、聖公会の信仰の炎が特に最もあつく燃え盛っているのは、ナイジェリア、スーダン、ウガンダ、ケニヤ、タンザニアなどのアフリカ諸国です。驚異的に発展成長し、全世界の聖公会の主教たちが10年に一度集まる「ランベス会議」でも、一大勢力となっています。


同時に、同性同士の結合も祝福し認めるアメリカ聖公会やカナダ聖公会と、それに反対するサブサハラ(ナイジェリア、ウガンダ、スーダン、ケニヤ、タンザニア)の聖公会の間で対立が激化し、さまざまな混乱が生じていることも事実です。「多様性の中の一致」が本当の意味で試される時代を迎えています。


日本聖公会 大阪教区事務所

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