あこがれ
ヴェロニカ 藤田伸子
この冬休みは、台湾へ行ってきました。2泊3日という最短の海外旅行。スーツケースも使うことなく、身軽な旅を楽しんできました。近場だったのであまり緊張することもなくリラックスすることができました。思いがけず、お茶が美味しく、台湾茶のとりこになってしまいました。ゆったりとお茶をいただきながら和む。なぜかいつも慌ただしく、忙しがっている私には貴重な時間でした。(故宮博物館の宝物も、点心料理も素晴らしかったです)

あちこち海外旅行に出かけているのは、外国への憧れの気持ちが強いからだと思っています。社会科の教員として、実際にこの目で確かめてきたことを子供達に伝えたいという生意気な気持ちも若い頃にはありました。(今もついつい、ゴミ箱とかポストなど授業で使えそうだぞと思うとカメラを向けてしまいますが)

あこがれの芽は幼稚園の頃生まれたんじゃないかなと思っています。もう40年近くも昔のことになりますが(うわぁ、年をとったなぁ、いやいや大人になったなぁ)下館幼稚園に入園しました。入園式も無事終わり、「さあ、お家へ帰ろう」という時に母親を探せず、泣き出してしまったことを憶えています。当時は宗教法人だったので日曜日も幼稚園はあり、きっと礼拝をしていたのだと思いますが記憶には残っていません。ゴメンナサイ佐藤神父様。そのかわり月曜日がお休みでした。唯一の記憶はクリスマスの聖劇です。白い衣装をつけてもらい天使のひとりになったようです。幼稚園では「アーメン」といってお祈りをしてからお弁当をいただく私も、家に帰ればおばあちゃんとお仏壇にお線香をあげるのでした。そこには文化の違いとか、あこがれとかそんな高尚な想いは無かったように思います。

ただ、幼稚園の壁にかかっていた大きなカレンダーの写真が外国の風景でした。幼稚園児の私には見たこともない景色で「きれいだなぁ。すてきなけしきだなぁ。こんな所が本当にあるのかな、行ってみたいな、どこなのだろう?」くらいのことを漠然と感じていました。教師になった今の立場から考えると「課題に集中しない、ぼんやりとした子」という評価になってしまいますが。

明治維新のころの日本が西洋にかぶれるかのように、私もヨーロッパに憧れるようになりました。日本史(といっても古代のほんの一部ですが)を大学で学んでいたのにもかかわらず、西洋の歴史の方が優れているように錯覚していました。仏教系の大学に在学しているのにもかかわらず、教会に通いたいと思っていたのでした。

憧れの地を実際に踏んだのは社会人になって数年経った頃でした。冬休みのほとんどを使ってのエジプト、トルコ、ギリシャの旅。「中学の頃から憧れていたピラミッドの前に今私はいる。来られるんだなあ!」という感動というか自信のようなものが沸々と湧いてきました。でも、ギザのピラミッドより、ルクソールのカルナック神殿やアスワンのアブシンベル神殿の方がもっともっと感動的でした。自分の無知に、はっきりと気づいた瞬間でもありました。

神様のお導きで信徒となってからも私の西洋びいきは続き、イギリスやドイツ、イタリアなど何度もヨーロッパを訪ね石の文化の荘厳さやワインのおいしさに酔っていました。

転機が訪れたのは秋葉御夫妻が下館に来られてからです。司祭様も緑さんも大のアジアびいきのように思われました。ヨーロッパの合間に遊びに行ったタイもシンガポールも暑いけど料理は大変美味しく、同じ木の文化の仲間だなあと感じていました。教員としての年月を重ねるうちに、自国文化に誇りを持てないのはおかしいとも思うようになっていました。日本を含むアジア。自分の足下をもっと大切にしなければ。遅ればせながら和の文化にあこがれを抱き始めた私です。

西洋でも東洋でもないと思えるインド。その地に命を捧げたマザーテレサ。アメリカ大陸。太平洋上の島々。まだまだ憧れはどんどん広がりそうです。これからもたわいもない私のあこがれにおつきあい下さい。また、いろいろな刺激を与えていただけることも楽しみにしています。面白いことがあったら是非教えて下さい。





《ほっとひといき》                                        藤田 伸子

このところ、仕事上のストレスがたまってしまい、そこから逃避するような文章を書いてしまいました。お許し下さい。

今年の婦人会だよりの原稿を次のような順番でお願いしたいと思います。不都合でしたら、お知らせ下さい。前月末が〆切です。予定通りに進まないのが世の常。飛び入り原稿いつでも大歓迎です。

64号(3月号) お楽しみに!
65号(4月号) 佐藤兄
66号(5月号) 後藤姉
67号(6月号) 坂入姉
68号(7月号) 秋元兄
69号(8月号) お楽しみに!
70号(9月号) お楽しみに!
71号(10月号) 秋元姉
72号(11月号) 大倉姉
73号(12月号)櫻井姉

立春寒波の影響で寒さは続きそうです。インフルエンザにもお気をつけ下さい。次号はニューフェイスの方にアタックしようと思っています。どうぞお楽しみに。
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