教会暦
降誕節
2024  おねむり愛しの子よ
Lully, lullay, thou little tiny child
Coventry carol, 15c.
COVENTRY CAROL
Pageant of the Shearmen and Tailors, 15c.
(訳詩 竹内謙太郎)
 英国コヴェントリーに伝わる、美しくも悲しいクリスマス・キャロルです。この歌は、マタイによる福音書2章16節以下に記された、ヘロデ王による幼児虐殺という凄惨な出来事をモチーフにしています。したがって「聖なる幼子の日」(12月28日)に読まれる福音書に対応した聖歌です。
 血みどろになった赤ん坊の冷たい体を胸に抱いて、自失呆然とする若い母の、声にもならない呻きが、繊細で抑制された旋律として表現され、そしてこの母たちの悲嘆を見つめた、絶望の詩が編まれています。以下に原詩を紹介します。
 1節「女たちよ、はたして我らに何ができようか。この日を覚え続けるために、このかわいそうな幼な子のために、我らは歌えるのだろうか、バイバイラリーラレーと」。2節「その日、ヘロデ王は激怒して家来たちに命じた。自分の目の前ですべての幼きこどもたちを殺せと」。3節「いと小さき幼な子よ、私は日夜、悲嘆にくれている。あなたとの別れについて、語ることも歌うことも、もはやできないのだから」。
 救い主イエス誕生の背後にある、この実に悲しい出来事は、主のご生涯にわたる宣教の姿勢において、大きな影響を及ぼしていたであろうと思われます。今日の世界においても、命が損なわれている幼な子たちと悲嘆にくれる母たちが依然存在することを思いながら、絶望から希望へと立ち上がる力を与えられる神への祈りを込めて、救い主の到来の日・クリスマスにこそこの歌を大切に歌い継いでゆきたいものです。
 曲の構成は『古今』102番のように、1段目を歌ったら1節から3節までを歌い、最後に4段目を歌って終わります。
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