日々の礼拝
夕の礼拝 |
2010 日暮れて闇深まり |
Abide with me, fast falls the eventide
Henry Francis Lyte (1793-1847)
EVENTIDE
William Henry Monk (1823-1889) |
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『古今』188番の改訂訳です。
19世紀の代表的な聖歌の一つで、英語圏で最も愛唱される夕の礼拝の歌です。
作詩のヘンリー・ライトは、スコットランドに生まれ、ダブリンのトリニテイーカレッジを卒業後、英国聖公会の司祭となりました。在学中には英詩の賞を三回受けた実績を持ちます。晩年は肺結核のため体調を崩し、冬場はフランスのニースで転地療養していました。
死期の近いことを悟った彼は、1847年9月4日の主日の聖餐式で告別説教を行いました。そしてその夕暮れ、牧師館から海辺に通じる小径をくだり、西に傾く夕日を眺めながらこの詩を書き上げたと伝えられています。陽の沈む夕暮れの情景と人生の暮れとを重ね合わせつつも、死への勝利と復活の信仰を力強く歌い上げています。エマオへの道すがら、共に歩む旅人が復活の主イエスであることを悟った弟子たちの言葉、「主よ、ともに宿りませ」[ルカ24:29] が、各節の終わりに繰り返され、不安と恐れの中でも、主の力ある復活の命にゆだねる心を表現しています。ライトはその年の11月に、転地先で亡くなりました。
作曲のウィリアム・モンクは、ロンドンに生まれ、英国各地のオーガニストを歴任した後、合唱指揮や音楽出版、聖歌集編纂などにも携わり、『HA&M』では、音楽主査を務めました。
今回の改訂にあたっては、作者自身の置かれた状況からの信仰告白を、内省的にとらえるのではなく、ひたすらに主の恵みと導き、そして永遠の命への希望と喜びを出しました。3節がそれを反映して大きく改訂しています。
また、1節の「日くれてよも (四方) はくらく」は、原詩に近い表現を考え、「闇深まり」と改訂しました。すでに夜の闇に取り囲まれた、不安と孤独感を表す直接的な表現により、そこからただ主にのみ寄り頼む信仰の告白が伝わります。
通常の夕の礼拝の他にも、復活の希望を歌い上げている点で、通夜の祈りにおいてもふさわしく用いられる聖歌です。 |
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