日々の礼拝
朝の礼拝
2002  あかつき輝きいで
Shake up the morning
John L. Bell (1949-)
Graham Maule (1958-)
SHAKE UP
John L. Bell (1949-)
Graham Maule (1958-)
(訳詩 堀口香代子)
 「アイオナ共同体 (※)」の歌集から収められた、朝のうるわしく輝かしい情景に主の復活の喜びを重ね合わせた、活気あふれる賛美の歌です。
 2節の「治める者よ祈れ」とは、正義や平和を希求する時には、世の支配者もまた、祈りとともに、自らの立場を変革していく必要があることを指し示しています。弱き者、小さくされた人々が満たされるという、主の福音を実現するための、もう一方の側面がここに歌われているのです。これは、アイオナ共同体の歌の特徴的な視点でもあります。
 「朝の礼拝」の歌として置かれていますが、内容的には、正義と平和を求める意図の礼拝や復活節にも適しています。
 シンコペーション(弾むようなリズム)によって歌われるこの旋律は、ピアノによる伴奏がよりふさわしいでしょう。テンポが遅くならないように、はぎれよく歌いましょう。
 伴奏者にとっては、シンコペーションの聖歌には戸惑いをおぼえがちですが、拍子のとり方は変わりませんので、1小節を2拍で数えると無理なく自然に歌えますし、後半の三連音符のリズムを失わずに、勢いよく歌えるでしょう。すべての音譜を弾くことが難しければ、右手で旋律を弾き、左手のベースラインでリズムを支えることもできます。
 なお、この聖歌全体のリズム感を作り出す「前奏・間奏」、及び「後奏」が用意されていますが、歌い始めのタイミングがとりにくい場合は、前奏として一度メロディを奏でる、というような工夫もしてみてください。

※「アイオナ共同体」―
 北西スコットランドの離島、アイオナ島を本拠地とする、超教派の信仰共同体です。周囲15キロメートルほどのこの小さな島は、6世紀に聖コロンバが渡って以来、修道院が設置され、信仰の拠点ともなっていました。1938年、スコットランド教会の牧師ジョージ・マクロードがこの島に渡り、修道院の修復を始めて、現在の活動の端緒を開きました。
 このアイオナ共同体では、自分たちが祈るべきことを詩にして、スコットランドやアイルランドの伝統的な旋律を用いて歌うとともに、今日的な旋律と和声によるオリジナル曲も生み出しています。それらの多くは、中心メンバーである牧師のジョン・ベルとグラハム・モールによって書かれ、同時代の人々の関心事、また現代の礼拝の要求に応える内容として、世界的な広がりを持って受け入れられています。作者たちは、アイオナ共同体の歌が「礼拝堂から20メートルも外に出ていくなんて考えてもみなかった」と驚きつつ、「もしアイオナ共同体の賛美歌に国境を超える力があるとしたら、それは個々の歌を支えている社会的リアリティの力でしょう」と述べています(ジョン・ベルの言葉の引用は、横坂康彦著『新しい賛美歌作家たち』日本基督教団出版局より)。
 『試用版』では、アイオナ共同体の聖歌を5曲(2002、2027、2046、2089、2117)収録しました。いずれも、わたしたちの礼拝生活に新しい風を送り込んでいくことでしょう。
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