なごや自由学校★2002年度秋期講座『セックスワーク論争』.
恋愛と性の未来型・第2回
2002/12/0713:30 16:30@名古屋YWCA
水島希・SWASH(Sex Work and Sexual Hea1th)、京大理学部研修員
(1)セックスワーク(sexwork)という言葉
・セックスワークとは、性的なサービスを提供する仕事のこと。具体的には性風俗産業や、売春をさす。
・セックス十ワークという言葉によって、売春や性風俗産業が「仕事」「労働」であるという立場が示されている。
・セックスワークは、「売春婦」「娼婦」といった言葉に含まれる蔑視的なイメージから中立。また、男性を顧客とする女性のセックスワークだけでなく、さまざまな職種、性別/セクシュアリティを含めて考えることができる。
(2)売買春はどのような見方で見られてきたか?
「なぜ、売買春は悪いのか」から「なぜ、売買春は悪いとされるのか」という問いかけへ。売買春に対する社会的に構成されたイメージを、意識的に振り返ってみよう。
1、買売春は罪である
性道徳、一夫一婦制、宗教的理念に違反するという意味で罪。「性は売ってはならないほど人間にとっては貴いものに値する」(日本キリスト教婦人矯風会『どうして売春はいけないのか?』1980)
2、買売春は社会統制の手段である
社会の必要悪。社会で買売春はある種の機能を果たしている。性病の蔓延防止、強姦の防止、国家経済の発展、国家経済への貢献など。「四千万の主婦の生活を守るために五十万と推定される売春婦の処罰は止むをえない」(神近市子編『サヨナラ人身売買』現代杜、1956)
3、買売春は社会に悪影響をもたらす社会問題である
青少年への悪影響、周辺の社会環境の悪化、新しくは、ジェンダーイデオロギーの再生産など。
4、買売春はいくつかの社会問題の結果である
社会病理としての買売春。貧困、都市化、教育の欠如、社会的な差別(性差別、民族差別、部落差別など)、失業、性暴力による被害、性的虐待の被害、戦争、天災などの結果。「売春婦たちは矛層した社会の犠牲者です」(目本キリスト教婦人矯風会『どうして売春はいけないのか?』1980)
5、買売春は個人の性格的障害や精神的障害の問題である
つまり個人の問題。例えば、そこで働く女性は淫乱である、自堕落だ、精神的に自立していない、買う男性はやはり悪い、変態だ、など。
川畑智子さん(東京都立大)「『売春防止法が女性に与える影響』一何が売春および性産業を性暴力に転化させているのか?」97年11月ドーンセンター講演より抜粋
●共通点「買売春という行為そのものや買売春をする人々に問題がある」とする視点
特に売春者の主体性の無視。売春者の状況には目が向けられてこなかった。または、現状をそのまま見るというスタンスは少なかった。
→何が買売春を暴力的なものに転化させているのか、社会条件、構造、仕組みを見ていくことが必要。
★それでは、セックスワーカー側の視点から、セックスワークの現状をみていこう。
(3)日本のセックスワークの現状
・職種分類と法律
・ファッションヘルスでの調査結果
(4)海外の状況
・台湾の公娼たちによる、公娼制度廃止反対運動
・他の地域の法的状況と、セックスワーカーのおかれている現状
・セックスワーカー自身の運動(ビデオ紹介)
(5)今後に向けて…(オープン・ディスカッション)